英検®に合格するための勉強法は?3級から1級はレベル別に解説

「英検®に合格していると入試で優遇があるらしい」
「資格試験を受験する前に英検®に合格していると免除される試験があるらしい」
このような話を耳にして英検®に興味を持っている方や英検®の受験を目指している方がいらっしゃるかもしれません。

その際に「どうやって英検®の勉強をすればいいのだろう?」と悩まれる方も多いと思います。

この記事では、英検®についての解説から始まり、英検®対策の一般的な勉強法、ライティングと面接のある3級〜1級については詳しい対策を解説したいと思います。

英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。

そもそも英検®とは?

実用英語技能検定を略して「英検®」と呼んでいます。公益財団法人 日本英語検定協会が主催している検定試験で、5級から1級まで(2級と1級はそれぞれ準2級と準1級もあります)7つの級があります。

それぞれの級の難易度、出題内容、出題形式をまとめると以下のようになります。

難易度出題内容測定技能必要な語彙数
5級中学1年初歩的な英語の理解力リーディング
リスニング
(※)
300〜500単語
4級中学2年簡単な英語を理解、簡単な英語を使った表現リーディング
リスニング
(※)
600〜700単語
3級中学卒業身近な英語を理解し、使用できることリーディング
ライティング
リスニング
スピーキング
700〜1,200単語
準2級高校中級日常生活に必要な英語を理解し、使用できることリーディング
ライティング
リスニング
スピーキング
2,000〜3,000単語
2級高校卒業社会生活に必要な英語を理解し、使用できることリーディング
ライティング
リスニング
スピーキング
3,500〜5,000単語
準1級大学中級社会生活で求められる英語を十分理解し、また 使用できることリーディング
ライティング
リスニング
スピーキング
6,000〜8,000単語
1級大学上級広く社会生活で求められる英語を十分理解し、また使用できることリーディング
ライティング
リスニング
スピーキング
10,000単語以上
英検®の難易度や出題内容

※4級と5級にはスピーキングテストという別のテストもあります。受験申込者全員が受験できるテストで、4級と5級の合格とは関係ない任意参加のテストです。面接ではなく、受験サイトでテストが行われます。スピーキングテストに合格すると、それぞれ「4級スピーキングテスト合格」「5級スピーキングテスト合格」となります。

英検®の受験方法は2種類ある!

英検®の受験方法は2種類あるのをご存知でしょうか。
従来型と言われる一次試験と二次試験に分かれている受験方法とS-CBTというテストセンターと呼ばれる試験会場でコンピューターを使う受験方法があります。

ただし、S-CBTは準1級・2級・準2級・3級受験者だけが選択可能な受験方法です。

また、4級と5級は一次試験だけで級の合否が判定されます。

従来型

一次試験ではリーディング、ライティング、リスニングの問題が出題されます。
リーディングとリスニングはマーク式、ライティングは自由記述式です。

一次試験合格者だけが2次試験の受験資格を与えられます。

二次試験は面接でスピーキングの試験になります。
面接官とのやりとりを経て2次試験の合否が判定されます。

一次試験と二次試験の両方に合格すると級の合格となります。

一次試験に合格したけど二次試験に不合格となった場合や二次試験を欠席した場合は、1年間は再受験の際に申請すれば一次試験が免除されます。

S-CBT

S-CBTは従来型と異なり1日でリーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの4技能のテストを受けることができます。

以前のコンピューターを使った試験にはCBTとS-CBTの2種類がありました。
両者の違いはリーディング、ライティング、リスニングの回答方式でした。
CBTは出題も回答も全てコンピューターを使うテスト形式、S-CBTは問題の内容はコンピューター画面に表示されるものの回答はマーク式と記述式でした。

今はS-CBTに統一されてリーディング、リスニングは出題も回答も全てコンピューター、ライティングはキーボードでのタイピングと回答用紙への手書きを受験申込時に選択する形式になりました。

スピーキングについては以前からコンピューターへの吹き込み式です。

リーディング、ライティング、リスニングに合格すると従来型の一次試験合格と同等となり、スピーキングの合否判定が行われます。

スピーキングが不合格になった場合も従来型と同様に1年間は一次試験が免除(S-CBTで2回、従来型で1回の最大3回まで)となります。

従来型とS-CBTのどちらがおすすめなの?

準1級〜3級を受験する方で、部活や仕事で忙しい中で英検®を受験したい方や少しでも早く合格したい方はS-CBTでの受験をおすすめします。

従来型の試験は年3回しか受験の機会がありません。一方でS-CBTの試験は原則毎週末開催されている上に平日開催に対応しているテストセンターもあります。
受験機会が圧倒的に多く、自分の都合に合わせて受験することができるのがS-CBTなのです。

S-CBTでは従来型の同一試験期間内に2回まで同一級の受験が可能です。さらに、同一試験期間内にS-CBTで2回、従来型で1回の合計3回の受験機会を作ることも可能です。
ある時期までに英検®に合格したい方にとってチャンスを増やすことができるのもS-CBTの特徴です。

コンピューターの操作が必要ですが、ライティングで回答用紙への手書きを選択すれば、キーボードの操作はほとんど不要です。

試験会場も全国各地にあります。

試験の受けやすさを考えるとS-CBTでの受験をおすすめします。

英検®を受験するメリット

英検®を受験するとどのようなメリットがあるかまとめたいと思います。

学校の入学に有利

英検®の所定の級に合格していると学校の入学試験でメリットを受けられることがあります。

中学受験や高校受験、大学受験において、各学校が定めた級に合格することで「学科試験の免除」が適用されるからです。

英語の試験が免除されれば他の科目の勉強時間を増やすことができます。

英検®は学校の入学試験でもメリットがあるのです。

英検®取得で学科試験が免除されるかどうかは各学校の規定により異なります。
事前に必ず確認しましょう。

企業の採用や昇進に有利

英検®の資格を持っていると就職活動や昇進などで優遇されることがあります。

特に、英語力が求められる国内の大手企業やグローバル企業での就職においては、英検®の資格を持っていることがアドバンテージになることがあります。

英語が使えるビジネスマンであることを証明するために英検®の資格が有利なのです。

英語力を上げるチャンスになる

英検®対策をすることで英語力を上げるチャンスを得ることができます。

英検®の試験勉強ではリーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの能力を向上させることができるため、受験を通じて英語力を高めることができます。

総合的な英語力を磨けるのも英検®受験のメリットと言えるのではないでしょうか。

【全レベル共通】英検®に独学で合格するための勉強法

すでに何度も触れていることですが、英検®は英語の総合力が問われます。特に3級以上になるとリーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの4技能で測定されます。

どのように勉強すれば独学でも英検®に合格できるか解説したいと思います。

単語と熟語の学習

どの級を受験するにも単語力が必要です。
単語力は4技能の全てで基礎となるからです。

各級で必要になる単語数の目安はこの記事の「そもそも英検®とは?」にまとめてあります。

英検®の受験対策では、受験する級に特化した英単語書籍を使うことで効率よく勉強することができます。級ごとに出題レベルが決まっているからです。

また、単語を覚える時はスペルと意味だけではなく、リスニング対策やスピーキング対策のために発音も覚えることが大切です。
必ず音声CD付きや音声がダウンロードできる教材を選びましょう。

リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの全ての基礎となるので、単語力はしっかり身に付けましょう。

過去問の活用

本番の前に何度も過去問を解くことが大切です。

過去問を解くことで得られる主なメリットは2つあります。

1つ目のメリットは苦手分野を把握できることです。
得点が低い分野(例えば、リスニングの得点が低い)や間違いの多い出題傾向(冠詞の問題や時制の問題など)を把握することで、効率的に弱点を克服することができます。
間違えた問題は必ず間違えた原因を調べましょう。

2つ目のメリットはテストに慣れることができることです。
リスニングの問題が出題されるリズムに慣れておいたり、リーディングとライティングの時間配分を考えたり、試験本番さながらの体験を事前にしておくことで、本番で慌てないようにすることができます。

苦手分野の把握やテスト本番の事前練習として過去問を解くことが大切なのです。

スピーキングの練習

3級以上は面接(スピーキング)が必須ですからスピーキングの練習は欠かせません。

面接では英語での受け答えはもちろん、積極的な態度であること、相手に聞き取りやすいハッキリとした声であることも評価対象になります。

日本では普段の生活で英語を使う機会がほとんどないので、意識的に英語を使う機会をつくらなければなりません。

例えば、家族や会社の仲間、学校の友達と面接を擬似的にやってみたり、一人でも声に出して英語を読むようにするなどです。

一人でスピーキングの練習をする場合は、自分の声を録音することをおすすめします。
少し恥ずかしいかもしれませんが、「話している内容が正しいか」や「自分の声が聞き取りやすいか」を客観的に評価する必要があるからです。

合格のためにスピーキングの練習に取り組みましょう。

【レベル別解説】英検®3級に独学で合格するための勉強法

3級では中学卒業レベルの英語力が問われます。中学卒業レベルの英語力が身についていると、日常会話で最低限のコミュニケーションが取れると言われています。

まさに「英語を使える」と言える登竜門が3級なのです。

基本的な勉強内容は全レベル共通で説明した内容の通りです。
ここでは3級に独学で合格するための勉強法を説明します。

英検®3級の特徴を知る

3級対策として、まずその特徴を知っておきましょう。

5級、4級と比べた明らかな違いは「ライティング」と「スピーキング」の試験があることです。

特に従来型では面接形式でスピーキングの合否が判定されますので、初めての場合は特に緊張することでしょう。

3級の特徴をおさえた勉強で合格を目指しましょう。

英検®3級のライティング対策

3級のライティングで問われるのは「正しい文法で書けるか」です。

3級のライティングで出されるトピックは中学卒業レベルから考えても簡単なものだと考えて良いでしょう。

例えば、
「Do you like going to swimming pools in summer?」
(夏にプールに行くのが好きですか?)
といったトピックが出題されます。
トピックの内容は簡単に理解できるのではないでしょうか。

このトピックに対して25〜35語で以下を表現します。

  • 自分の意見
  • 1つ目の理由
  • 2つ目の理由
  • まとめ

設問の中では「まとめ」を書くことは指示されていませんが、文章として書くのですから最後に自分の意見をもう一度述べて締めくくるのが理想です。

最大でも35語ですから、難しい表現ではなく正しい文法で簡潔に書くことが問われるのです。

英検®3級のスピーキング対策

基本は全レベル共通の「スピーキングの練習」で説明した通り、英語を話す機会を増やすことがスピーキング対策になります。

試験の流れが日本英語検定協会のページに書かれているので、受験を決めたら早めに目を通して当日の様子をイメージしておきましょう。

パッセージの音読や質問の受け答えで声が小さくなったり、緊張で答えに詰まってしまうことがないように、英語を声に出して練習しておきましょう。

【レベル別解説】英検®準2級、英検®2級に独学で合格するための勉強法

準2級、2級となると、高校中級レベルや高校卒業レベルの英語力が問われます。
そのため、準2級に合格すると大学入試の出願資格が得られたり、得点加算の優遇措置を受けれるケースがあります。
2級合格ともなると、得点加算の優遇措置だけでなく、英語の試験が免除されることもあります。就職や転職でも履歴書に2級合格者であることを記載することで、高度な英語運用能力があると認めてもらえます。

それでは準2級、2級の合格に向けて、特に注力すべき勉強法を解説します。

英文法の勉強

準2級では高校中級レベル、2級では高校卒業レベルの英文法力が必要です。

試験に取り上げられる話題がより社会生活によった高度な内容になりますから、文法のレベルも同様に高度になります。

高校で学習する文法に苦手意識がある人、社会人で高校レベルの文法に自信がない人、中学生以下で準2級より上を目指す人は、文法に関する書籍を使って体系的に学ぶことをおすすめします。

参考書のような専門的な書籍ではなく、英検®に特化した対策本を活用したり、高校生向けの教材をお持ちならそれを使えば十分な知識が身につくはずです。

リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの基礎にもなるので英文法力を高めましょう。

長文読解の対策

長文読解には単語力と文法力が必要です。さらに英検®のように、時間制限のある試験の対策として長文を読むことに慣れておく必要があります。

単語力と文法力があれば長文を正確に理解することができるでしょう。
ただし、限られた時間の中で長文問題に取り組むためには、正確な内容の理解よりも大まかなに内容を把握しておくにとどめた方が良いこともあります。

内容を大まかに理解するのに有効なのが「スラッシュリーディング」です。
英文和訳のように英語を一文一文、日本語の文法にそって理解するのではなく、英文を頭から英語の語順のまま把握していく方法です。

過去問などを活用して長文を読むことに慣れておきましょう。

社会問題、身の回りの話題に関心を持つ

準2級や2級になると、ライティングやスピーキングで社会問題や身の回りでよく見かけることについて出題される傾向があります。だから普段から社会問題や身の回りの話題について関心を持って自分なりの意見を持っておくことが重要です。

英検®対策の書籍や過去問に取り組んでおきましょう。様々なトピックに触れておくことで、どのような社会問題や身の回りのことが出題されるか把握することができます。

試験問題が全く知らない話題で答えられない、という事態にならないためにも社会問題や身の回りの話題について関心を持つように心がけましょう。

【レベル別解説】英検®準1級、英検®1級に独学で合格するための勉強法

準1級は大学中級レベル、1級は大学上級レベルの英語力が問われます。
2級までと比べて求められる英語のレベルが格段に高いので、学校生活でも社会生活でも高く評価されます。入試優遇や単位認定だけでなく、一部試験が免除される資格試験もあります。

最後に準1級、1級の合格に向けた勉強法を解説します。

幅広いトピックへの対応

準1級や1級では、ライティングやスピーキングでかなり幅広いトピックについて出題されます。それに対して自分の意見が言えるように対応しておく必要があります。

ライティングでは論文さながらに「序章」「本文」「結論」という順番で自分の意見をまとめる必要があります。

スピーキングでは2級までのような短い文章すらなく、絵や問題文から自分の考えをまとめて説明する能力を求められます。

ライティング専用の問題集を使って、さまざまなトピックに対応する能力を養っておくことが大切です。

リスニングの速さと長さに慣れておく

1級のレベルになると、リスニング問題のスピードも長さもそれまでのものとは比べ物にならないレベルになります。事前に対応できるよう慣れておく必要があります。

使われる単語も高難易度なので単語力を上げるとともに、音声教材を活用してスピードと長さに慣れておきましょう。
特にスピードに慣れるために、1.5倍速や2倍速で聴くのもおすすめです。

過去問も活用して、スピードと長さに慣れておきましょう。

まとめ

英検®の全体像、試験方法、メリットや各レベルの試験対策について把握できたでしょうか?

問題形式は毎年同じですから、過去問を活用するだけでも出題傾向を把握できたり時間配分が身につくので得点アップにつながります。

あとは各レベルにあった、4技能の実力アップに地道に取り組んでいくことが大切です。

目標とする試験日を決め、学習スケジュールを立てて、合格目指して頑張りましょう!